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「聲の形」が感動ポルノの裏で投げかけたリアル

「聲の形」が感動ポルノの裏で投げかけたリアル

毎年、様々な物議を醸しながらも利益重視な企業都合と強者の理論で強行される日本テレビの風物詩「24時間テレビ 愛は地球を救う」が、今年も放送された。

今年で41回を数える24時間テレビであるが、若手ジャニーズタレントの実績作りと、安定した仕事が欲しい芸人たちが、障害を持った「生きづらい」人々をダシに空々しい感動を振りまくどうしようもない様相が、今年も繰り広げられた様だ。

そんな「感動ポルノ」番組に対する風当たりは年々強まってきている。

24時間テレビに疑問を投げるNHK

かつては24時間テレビのカウンターとしてバカバカしいどんちゃん騒ぎを垂れ流していたフジテレビの「27時間テレビ」の意義も局の衰えとともに終了した今、反24時間テレビの急先鋒は何と言ってもNHKである。

 

NHK自体も視聴料問題や偏向放送など、さまざまな問題を抱えた放送局ではあるが、「反24時間テレビ」については、なかなか鋭いカウンターを繰り出している。

一昨年、24時間テレビの放送に合わせてNHKが放送した身障者によるバラエティー番組「バリバラ」において発せられた「感動ポルノ」という言葉は物議をかもしながらも、多くの人が抱えていた24時間テレビに対するあのモヤっとした”嫌悪感”を見事にあらわして完全に一般化した。

NHKがあえて24時間テレビにぶつける「聲の形」とは?

そんな「反24時間テレビ」な姿勢を見せるNHKが今年用意したプログラムが、聾啞者と健常者との交流を描いたアニメ映画作品「聲の形(こえのかたち)」である。

 

この作品は大今良時による漫画を原作としたアニメ作品で、作者の大今良時はこの作品で第80回週刊少年マガジン新人漫画賞に入選しデビューを飾っている。

この作品が45ページ読み切りのかたちで「別冊少年マガジン」に掲載された時から、漫画ファンの間では大変な話題となった作品で、その後、「週刊少年マガジン」での連載からアニメ映画化まで辿る、漫画家にとってのシンデレラストリーを生み出した。

NHKのEテレにおいて地上波初となった今回の放送でこの作品に触れた人も多い様で、Twitterなどを中心に大きな話題となっている。

「聲の形」が健常者に示すリアル

「聲の形」についての感想は人それぞれあるだろうが、「聲の形」が示しているものは健常者と障害者の間にある、リアルな現実だ。

健常者という言葉は「常に健やかなる者」として障害者の対義語として使われることが多い。しかし、現実には「常に健やかなる者」などほとんど存在しない。

「聲の形」には健常者が障害者を”区別”する日常の様々なシーンが描かれる。わかりやすい障害者に対する差別やいじめから、相手の気持ちを置き去りにした”優しさ”まで。「相手を思いやる」ということはどういうことか?人は本当に「相手を思いやる」ことができるのか?

「聲の形」は、観る人にそんな問いを投げかける作品だ。

感動ポルノで金を集めることが目的なのか?

五体満足なことに胡座をかいて、障害者に手を差し伸べるなどという行為は非常に”傲慢”ではないだろうか?「やらない善よりやる偽善」とうそぶき、障害者の方々を2度と立つことはないであろうステージに引っ張り上げて踊らせることに、個人的に心のわだかまりが拭えない。

世界の一線で活躍する義足のアーティストViktoria Modestaにも、彼らは同じ様に善意を施す態度で接するのだろうか?

 

感動ポルノで衆目を集める番組を観て使途の怪しい募金にお金を投じることと、「”障害者向け” “クラウドファウンディング”」というたった2つのキーワードでリストアップされる様々な障害者向けのプロダクトやサービスにお金を投じるのと、どちらが障害者に寄り添うことになるか?ということは、多くの人に是非とも考えてもらいたいと思う。

体の欠損、身体機能の欠損はとても分かりやすい。しかし、自身が”健やか”であることを疑いもせず、身障者を見て「かわいそう」などと思う心は本当に”健やか”なのだろうか?

心の欠損はどうやって救われるのか?「聲の形」を観て、そんなことを考えさせられた。

(ちょろっと@遊び人)

 

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