伝説的アニメ「フリクリ」が再び世界のアニメを更新する

国内初のオタクによるオタクのためのアニメ制作会社「ガイナックス」が、新世紀エヴァンゲリオンのヒットで勢いづいている中、2000年にOVAのみでリリースされた伝説的なアニメーション作品「FLCL(フリクリ)」。
その完全新作が、9月7日から劇場公開される。
フリクリを知っている人には、以下の公式サイトにある概要をお伝えしよう。
「フリクリ」が2018年、新たに劇場版「フリクリ オルタナ」、劇場版「フリクリ プログレ」として公開される。
新作の制作にあたっては、スーパーバイザーを「フリクリ」の生みの親・鶴巻和哉、キャラクター原案を貞本義行が務め、the pillowsが主題歌・挿入歌を提供する。劇場版「フリクリ オルタナ」の監督には、「幼女戦記」で重厚な戦闘描写を描き、「パンチライン」ではポップな演出を見せた上村泰が務める。そしてOVAシリーズに引き続きハルハラ・ハル子を新谷真弓がパワフルにクレイジーに演じる。
フリクリを知っている人は、この情報だけで十分なはずだ。この予告を見て大いに期待してほしい。
フリクリを知らない人は、旧作でも新作でもいいんでまぁ手っ取り早く観てほしいと思うが、18年前の前作を観るなら少しだけ補足情報を伝えておこうと思う。
現在日本の総オタク天国の扉を開いた「新世紀エヴァンゲリオン」を世に放った「ガイナックス」の庵野秀明は、エヴァンゲリオンに続くエンターテイメント作品を期待される中、続くTVアニメシリーズとして少女漫画原作の「彼氏彼女の事情」を制作した。
このアニメシリーズは、エヴァンゲリオンの社会的影響を受け気負ったのか、かなり実験的な演出が盛り込まれ、一部で高い評価を受けるも地上波放送のエンターテイメントアニメとしては広く受け入れられるものではなかった。
そうして庵野秀明自身もエヴァンゲリオンの呪縛に囚われながら、実写映画の制作などアニメの現場から離れ試行錯誤を重ねている中で、エヴァンゲリオンの制作に関わっていた鶴巻和哉、貞本義行、榎戸洋司、今石洋之といった2000年代のジャパニメーションを支えるスタッフで制作された伝説的アニメ作品が『FLCL(フリクリ)』である。
フリクリはTVでの放送ではなくOVA販売のみであったため、コアなアニメファンの間で話題となったが、エヴァンゲリオンのような社会現象を巻き起こすほど波及はしなかった。
しかしその後、アメリカのアニメ専門チャンネル「カートゥーンネットワーク」において放映されることとなり、海外においてはエヴァンゲリオンよりも高い人気を誇っている。
内容的にも、キリスト教をやや背徳的に取り上げたエヴァンゲリオンより、思春期における性衝動と若者の抱える悶々とした悩みを題材としたフリクリの方が、海外では受け入れられやすかったということもあるだろう。
その作品のクオリティは、OVAでありながらデザインや色使いは極めてPOPで、ジャパニメーションの作画レベルを塗り替えた今石洋之の斬新なアングルとカットが冴え渡り、今見てもその新鮮さは失われていない。
そして、この作品を最も印象づけているのは、作品全編に流れるthe pillowsのロックンロールである。
最高潮の場面で印象的に使われるthe pillowsの楽曲は、甘酸っぱくもアナーキーでエキセントリックでドラマティックな青春をジャストに彩っている。
2000年といえばスマホもLINEもYoutubeも無い頃だ。
本当にアニメを好きな人たちの間で話題となっていた作品であるが、そのスタイリッシュさと先進的な映像は、近代アニメの金字塔として今も輝いている。
さて、20年近くの時を経て再び制作された「フリクリ」を冠した2つのアニメ作品「フリクリ オルタナ」と「フリクリ プログレ」は、我々にどんなアニメの未来を見せてくれるだろうか?
(ちょろっと@遊び人)
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