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DIR EN GREYの痛みは誰に染み渡るか

DIR EN GREYの痛みは誰に染み渡るか

ついに、ついにDIR EN GREYのニューアルバムがリリースとなる。

デビュー20周年のメモリアルイヤーを飾る約4年ぶりとなるアルバム「The Insulated World」が9月26日にリリースされる。

デビュー以来、とにかくカテゴリー分けしてレッテルを貼らないと音楽を売ることができない国内ミュージックシーンにおいて、真っ当に受け取ることのできる限られた支持者とともに、独自の音楽を進化させてきたDIR EN GREYが20周年を迎え、さらに支持を広げているように感じる。

このニューアルバムのリリースを機会にDIR EN GREYが抱える”痛み”について、個人的な想いを書かせていただこうと思う。

DIR EN GREYを過小評価させるヴィジュアル系の呪縛

DIR EN GREYのWikipediaページには、一行目にこう紹介されている。

DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)は、日本のヴィジュアル系ロックバンド。
DIR EN GREY」(2018年9月25日)『ウィキペディア日本語版』

もうこの一文に、ものすごい違和感をおぼえる。

国内において彼らを紹介する際、お約束のように必ず貼り付けられる「ヴィジュアル系」というラベルは、独自のヘヴィネスを創造し、今やラウドロックファンを中心にワールドワイドな支持を得ているDIR EN GREYを表す言葉として適切ではないように思えて仕方がない。

 

国内のみならず、世界に向けてDIR EN GREYならではの世界観を表現しファンを拡大するスケールの大きなバンドへと進化した彼らを、小さな島国の中のさらに小さな閉鎖された「ヴィジュアル系」というマーケットに縛りつけようとする心理は理解できない。

彼ら自身「ヴィジュアル系」と呼ばれることにこだわっている訳ではない。否定こそしていないが「自分たちが表現する音楽を聴いた人がどう捉えるかは自由である。」と表明しており、その判断は彼らの音楽を受け取る側に委ねられている。

そのような状況で、誰でも編集可能なWikipediaページにおいて「ヴィジュアル系」と紹介されているということは、どういうことか?それはつまり、日本のファンがDIR EN GREYを「ヴィジュアル系」に縛り付けているのである。

世界中で、彼らを”ヴィジュアル系”と呼ぶのは日本人だけだ。

日本の不寛容さに挑むDIR EN GREY

彼らは、デビュー当時こそビジュアル系と呼ばれるようなルックスと音楽性を示していたが、2000年を超えるとその音楽性はどんどん重さを増していき、欧米をはじめとした海外での活動を重ねながら2011年以降になると音楽性とともにそのビジュアルも過激さを増し、人間の生理的な嫌悪感に訴えるMVを発表するようになる。

その過激さへの傾倒は一種”ヴィジュアル系”と呼び続ける日本人への挑戦のようにも思える。なぜなら、あんなおドロおドロしく重々しい過激なビジュアル系バンドなどDIR EN GREY以外には存在しないからだ。ビジュアル系の定義について詳しい訳ではないが、今のDIR EN GREYが「ビジュアル系」という枠に到底収まっていないのは分かる。

 

気になって他のバンドも調べてみたが、明確に否定しているL’Arc~en~Ciel以外、LUNA SEAもGLAYも、あのウェンブリー・アリーナを沸かせたX JAPANでさえもWikipediaには”ヴィジュアル系ロックバンド”と書き込まれている。

日本において一度でも”ヴィジュアル系”と烙印が押されてしまうと、その後バンドがどんなに方向転換しスケールアップしてもその称号からは逃れられないという現実は「一度でも失敗したら終わり」な日本ならではの不寛容さを表しているようだ。

ラウド系ミュージックシーンの復権を嘲笑うDIR EN GREY

現在の日本ではアイドルさえもヘッドバンギングし、ヘヴィメタルやハードコアのライブで見られたモッシュやダイブ、リフトといったオーディエンスによる過激なアクションも一般化している。2,020年を前に90年代には一度死に絶えた国内ラウドシーンは、完全に復権したといっていいだろう。

デビュー20年を迎えたDIR EN GREYはその様子をどう捉えるだろうか?

X JAPANの登場以降、見た目が派手なバンドは音楽性の区分けもなくみんな”ヴィジュアル系”として売り出され、多くのバンドが消えていく中で、独自のヘヴィネスを追求してきた彼らの20年は、まさに国内ラウドシーン復権の20年でもあった。

 

彼らの示す”重さ”や”過激さ”はラウド系バンドブームを受けニワカな”売り”を意識した軽薄なものではない。激しいライブで大暴れしたいだけのラウドロックファンでは、精神に作用する彼らの音を受け止められないだろう。

真のラウド・ヘヴィネスを求める人には、デビューから現在に至るまで”痛み”を受け続けその痛みを我が物にしたDIR EN GREYの世界を一度味わってみてもらいたいと思う。

(ちょろっと@遊び人)

 

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