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Red Swanは自らが築いた時代へのレクイエムか?

Red Swanは自らが築いた時代へのレクイエムか?

X JapanとL’Arc-en-Ciel、日本のミュージックシーンに一時代を築いた2つのビッグバンドを率いる二人のロックスターによる”夢の共演”が実現した。

10月3日にYOSHIKI feat.HYDE名義のシングル「Red Swan」がリリースされる。

この楽曲は「進撃の巨人 Season3」のOPとして制作されたもので、YOSHIKIからのオファーによってHYDEが参加することになったという。

YOSHIKI(52歳)とHYDE(49歳)がこの時代にコラボした美しいバラード曲を、彼らのデビュー時からの活躍と国内ミュージックシーンの変成を知る彼らと同年代の人間として、一種感慨深い想いを持って受け止めている。

 

今、二人がコラボする意味

本人たちも対談で語っていたが、X JapanとL’Arc-en-Cielのフロントを務める二人がコラボすることなど、一昔前では考えられなかった。

浅膚なメディアにかぶれた若者の中には「バンドの売り上げが落ちてきたから、話題作りでコラボしたんだろう。」などと考える愚物もいるかもしれないが、国内人口の最大ボリュームゾーンである現在の40代〜50代を舐めてはいけない。米津玄師なんぞ知らなくてもX JapanやL’Arc-en-Cielを今でも支持する中高年は山ほどいる。

そんな彼らがバンドの垣根を超えてコラボすることは、イクラとキャビアを合わせて食べるような、ウニとカニを同時に食べるような。。。どうも例えに貧相さが滲んでしまうが、とにかくとてつもなくゴージャスな出来事である。

 

と同時に、同年代として彼らの気持ちを慮ると一抹の寂しさを感じないでもない。

なぜなら、互いにキャリアを重ね地位を築き上げ先が見えているからこそのコラボの様に思えてならないからだ。

子曰く、五十にして天命を知る。

自分がこの歳になってみて改めて考えるのは、自分の可能性についてだ。人生を折り返し自分の成してきたことと照らし合わせ「この先、自分になにができるか?」ということを考えるようになる。

今までも自分にできること、やりたいこと、夢や希望と言い換えてもいい想いは持っていたが”この先”は見えなかったし、考えたこともなかった。

”この先”が見えることが、すなわち「天命を知る」ということなのだろう。

 

世紀のロックスターとしがない自分を比べるのもおこがましいが、彼らが自らの音楽を信じ、先も見えぬままスターダムを駆け上がってきた、あの勢いある時間をもう一度味わうことはないだろう。

X JapanとL’Arc-en-Cielが成し得たこと

X Japanはジャパニーズヘヴィメタルブームの後期にデビューし、当時のジャパニーズヘヴィメタルバンドの多くがしていた”ヘヴィメタル然”とした過激なファッションと当時大きなムーブメントとなっていたスラッシュメタルがテレビのバラエティ番組で取り上げられることとなった。

 

その姿はヘヴィメタル=うるさいだけの音楽と捉える人たちに嘲笑されながらも、女性を中心とした既存のヘヴィメタルファン以外にアプローチすることとなり、X Japanは従来のヘヴィメタルファンには嫌われながらも新たなロック支持層を開拓した。

X Japanの開拓した”ヘヴィメタルとは違うヴィジュアルを伴う激しいロック”を支持する新たなマーケットにはその後多くのバンドが参入し、そのうちの一つとしてL’Arc-en-Cielも登場してきたが、L’Arc-en-Cielはその支持が広がると共にその新たなマーケットである”ヴィジュアル系”として括られることに抗ってきた。

 

結果として、両バンドによって”ヴィジュアル系”というバンドカテゴリーは生み出され、定着したと言えるだろう。

ロックスターが見据えた先にあるもの

”ヴィジュアル系”のマーケットが拡がりを見せる中、X Japanは一度活動を停止しながらも2007年に活動を再開し、グローバルに活躍している。L’Arc-en-Cielも一時期の活動停止を経て、一昨年より再び活動を再開している。

どちらも再始動後のライブにおいて記録的な動員を打ち立てており、とても”落ち目”などとは言えない活躍を見せている。

きっとこれからも、多少のドラマはありつつも両バンドらしい作品を届けてくれるのだろう。二人の音楽に対する情熱が消える”この先”にたどり着くまでは。

そんな二人が”この先”を見据え、お互いに成してきたことをリスペクトし合えるほどに成熟し、二度とはないチャンスを活かした上で実現したコラボの様に思える。

「Red Swan」はYOSHIKIらしい美しい旋律の上に、HYDEの衰えることのない伸びやかなボーカルが冴え渡る珠玉のバラードとなっている。

アクションアニメのオープニングにはそぐわない様に思えるその作品は、彼らの軌跡を知るファンとして特別な想いで受け止められる。

それは、時代を築き上げたロックスターが”その先”へ向かうために、自分たちの最盛に別れを告げるレクイエムのように美しく心に響くのだ。

(ちょろっと@遊び人)

 

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