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凋落した紅白が映し出したもの

凋落した紅白が映し出したもの

紅白絡みのニュースは、各芸能プロダクションやメディアの思惑が見え隠れする提灯ニュースばかりで辟易とするが、それでも蓋を開ければ平均視聴率40%を超える”大台”に乗ったそうで、放映前は”見どころがない”と叩かれていただけに、これで関係者も一安心どころか鼻高々だろう。

今回の紅白が高視聴率という報を受け、少し思うところがあるので記しておきたいと思う。

今回の紅白については、確かに「見どころのない」ラインナップであった。ここ数年変わらないジャニーズと秋元康におもねった構成と、根拠のわからない選考で初出場を飾る聴いたこともないアーティスト達。

2018年の話題から言えば、西城秀樹への追悼コーナーは有ってしかるべきであったと思うし、沢田研二だって引っ張り出せたかもしれないが、結局はいつのも調子で差し障り無い内容に収めて無難に年を越してしまおうという「The 公務員」的な内容になるはずだった。

それなのに何故、視聴率は大台を超えたのだろうか?
それは、明らかに”いくつかのハプニング”によって成されたものだと思えた。

米津玄師の出演というハプニング

もう年の瀬も押し迫った頃「米津玄師が紅白に出演する。」というニュースが飛び込んできた。いろいろな調整と交渉の末、ギリギリでOKを出したのだろう。

2018年を象徴するアーティストである米津玄師は、大々的なプロモーション攻勢無しでヒットを生み出しているアーティストである。音楽の売れない現在の日本において主流となっているメディアスクラムでプロモーションを行う国内のセールス・マーケティングの外にいるアーティストだ。

 

昨年夏に向け「マリーゴールド」をしつこいくらいプッシュしてもいまいちブレイクせず、年末のレコ大と紅白でもう一度ショーレースに乗せるため盛大にプロモーションをかけている”あいみょん”のエセ人気とは根本的にちがう。ホンモノのヒットメーカーである。

お金と権力をジャブジャブ使って紅白で馬鹿騒ぎする雑魚アイドルやハリボテのエセ人気歌手とは一線を画したい。なんなら一矢報いたい。と、ニコ動出身アーティストに対する差別を公然と口にする米津玄師にそんな思いはなかっただろうか?

結果、米津玄師はカウントダウンコンサートをやっているわけでもなく、他の放送局にいるわけでもなく、休暇をとって里帰りしている徳島から一昨年の安室奈美恵並の特別待遇で、紅白出場を果たす。

その演出は、空々しいから騒ぎを続けるNHKホール会場から切り離され、米津玄師の出演を特別な時間にすることとなった。

NHKの予定調和をブチ壊す度を越した大御所アーティストの遊び心

もう一つのハプニングは松任谷由実のホール降臨であろう。

 

松任谷由実は早い段階から紅白出場を表明していたが、NHKホールにはサプライズの形で登場した。

しかも、そのバックバンドは知ってる人が見たらひっくり返るほどの豪華なメンバーを引き連れ、たった2曲歌う為にNHKホールのステージに立ったのである。

これはもう、ジャニーズのグループが数十束になってメドレーを歌ってもかなわないほどの豪華さで、この時点で「度を越して」いた。

つまり、観客の数とか出演料とか時間とかそういった事を”度外視”したものであり、それをさも当たり前のようにTVに流す紅白歌合戦は、この時すでに”どうかしている”状態であった。

この時点で、式次第通りに進行している様に見えていた紅白歌合戦は、そのイニシアチブを”演者”に奪われていたように思う。

サザンオールスターズにステージを明け渡したNHK

そして最後に特別枠でのサザンオールスターズである。

 

サザンオールスターズについて、若い人の多くはデビュー以来ヒットに恵まれ順風満帆に活動してきたバンドであるような印象を持っているかもしれないが、彼らはデビュー時から常に国内のメディアやエンターテイメント界にあるしきたりや偏見と戦い続け、多くのファンに支えられることで道を切り開いてきたバンドである。

だから、局の慣例とかメディアの都合などお構いなしにステージで暴れ会場を沸かせる。ここ数年の紅白で、あれほど会場が沸いたシーンはなかったのではなかろうか?

もう10年以上前に氣志團の綾小路翔が扮したDJ OZMAによる全裸乱痴気ハプニングなど、サザンオールスターズなら平気でやる可能性はあった。今回、ギリギリ放送できる範囲で収まったのだから御の字だ。

80年代の「メリー・クリスマス・ショー」再来

松任谷由実と桑田佳祐のカラミが「夢の共演」とニュースになっていたが、かつて2年間クリスマスの特別番組で、あのような豪華な共演が行われていたことがあった。

 

調べてみると桑田佳祐の企画であったそうだが、明石家さんまがMCとなりサザンオールスターズから松任谷由実、忌野清志郎、アンルイス、吉川晃司、THE ALFEEなど、その当時でも考えられないほど豪華なアーティストが出演し、コラボ企画で様々な音楽を聴かせるプログラムだった。

1986年と1987年の2回で終わってしまったが、それ以後そのような歌番組を見ることはなくなってしまった。

このスペシャルなTVプログラムの発起人は1985年に紅白のステージにシャンパンをぶちまけ、紅白歌合戦という権威主義のぶち壊しを図り出禁となった吉川晃司であったという。

80年代後期から90年代にかけて空前のバンドブームの中で、紅白歌合戦に出場するバンドは非常に少なかった記憶がある。BOØWYもTHE BLUE HARTSも紅白に出場することはなかったし、今の30代~40代から絶大な支持を集めるELLEGARDENや10FEET、マキシマムザホルモンなどが紅白に出るようなことはないだろう。

かつては国民のための総合的な音楽番組であった紅白歌合戦は、今では音楽的な断絶の象徴となってしまっている。

音楽に蹂躙されるNHK紅白

音楽というものは本来、国境や民族、貧富の差などボーダーを超えて人々をつなげるという、大きな作用を持っているものだ。しかし、その人気に関係なく「紅白に出られるアーティスト」と「出られないアーティスト」が存在する。

紅白が多くのアーティストに敬遠される理由は、そういうところなのではないだろうか。

そして、今回はそのボーダーに位置するアーティストたちにより紅白は”蹂躙”され、大きな支持を得ることとなった。そんな風に思える内容だった。

さて、今年の紅白はどのようなハプニングが起こるだろうか。今から楽しみでもある。

(ちょろっと@遊び人)

 

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