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JAPAN JAMに見たももクロの底力とBiSHの壁

JAPAN JAMに見たももクロの底力とBiSHの壁

改元に合わせて無理矢理に大型連休を組み込まれ、元来出不精な人間は無為な休暇を過ごすこととなった2019年のGW。
かくいう自分も出かけるには金もなくケツも重いので、近所のコンビニに出かける程度で済まそうかと思ってはいたが、毎年地元の近くで開催されている「JAPAN JAM」において気になるプログラムが組まれていたので観に行って来た。

そのプログラムとはライブアイドルの帝王こと「ももいろクローバーZ」と、このサイトにおいて”オルタナティブ・アイドルの雄”と位置付ける「BiSH」が続けざまに公演を行うというものだ。今まで、両グループが同じフェスに出演する事はあったが、こんなにnearに公演が重なる事はなかった。「非AKG」アイドルを代表するこの2大グループのステージは興味深い結果となったので、自分なりにまとめてお伝えしたいと思う。

ちなみに、結果としてはタイトルに示してしまっているのでBiSHファンである”清掃員”の皆さんは面白くないだろうから、こんな一般人のクソ駄文など無視していただいて構わない。

JAPAN JAM 2019 初日は激ロック!なラインナップだった

ステージレビューの前に、この日のJAPAN JAMの状況を少し説明しておこうと思う。

隣接する3つのステージで朝10時から10時間に渡り19組のアーティストが交互に出演するロッキンオン主催の「JAPAN JAM」。 2019 初日、この日のトリは10-FEETとなっており、昼過ぎに出演したROTTENGRAFFTYから04 Limited Sazabys、Coldrain、HEY-SMITH、BLUE ENCOUNTなど、国内ラウド系フェスとして有名な「京都大作戦」の常連アーティストを含むパンク・ラウド系アーティストが多くラインナップされており、フェス3日間を通して最も「暴れる」オーディエンスが集まる日だったと思える。

 

激ロック“常連アーティストのTシャツを着て、日本各地のライブハウスやフェスで大暴れしてきた歴戦のオーディエンスが集まるこの日。そういった荒くれオーディエンスに混じり「モノノフ」と呼ばれるももクロファンと一目でわかる人が昼を過ぎると会場に集まりだし、晴天ながらも時おり雨がぱらつく14時、BiSHに先行する形で「ももいろクローバーZ」のステージリハが始まる。

“ダウンタウンももクロバンド(DTM)”と称する自前のバンドがサウンドチェックを始めるとファンから声援が上がる。BABYMETALにおける”神バンド”同様、バックを務めるバンドメンバーもファンには十分認知されているのだ。しかもこの日はギターに元ジュディマリのTakuyaが加わっており、高齢化するフェスオーディエンスの反応も高かった。

まだももクロのメンバーが舞台に出てこないサウンドチェックの時点で、この日のセトリに含まれていない「サラバ、愛しき悲しみたちよ」をインストでしっかり演奏し十分にオーディエンスを温めたところで公演をスタートさせる。サービス精神というには余りある対応だ。

BiSHを意識した?ももクロの攻撃力

本公演は新生ももクロが放つ異色のパンクカバー楽曲「あんた飛ばしすぎ!!」からスタート。この日の「暴れる系」オーディエンスと、何より自分たちのすぐ後に公演を控えているBiSHを意識した”攻めるセトリ”で畳み掛ける。

 

昨年から今年にかけたアイドル界全体の衰退傾向もあいまって、ももクロも2014年の国立競技場公演のピーク時に比べればパワーダウン感は否めない。それでも多くのアーティストがステージの常套句としている「このステージで全力を出し切る」という姿勢を十二分に体現し、非ももクロファンも含むオーディエンスを取り込み共に楽しむ「ももクロイズム」を目の当たりにするステージだった。

ステージ中のMCではBiSHの名前を出さないまでも明らかにBiSHファンを意識したメッセージを送り、終演の際もBiSHをイメージさせるメロイックサインをモニターカメラに突きつける高城れにの姿を後にBiSHの公演が始まりつつあるすぐ隣のステージに移動する。

過激に盛り上がるBiSHファン

BiSHは「JAPAN JAM」は初出演となるが、この日集まっていた「暴れる系」オーディエンスと”パンク・アイドル”を標榜するBiSHとの親和性はももクロよりも高いと思われた。実際、別ステージでのColdrainと公演時間が被っていたが、ももクロを観ていたオーディエンスの半数以上はBiSHのステージに向かい、中には10-FEETやROTTENGRAFFTYのTシャツを着たオーディエンスも多かった。BiSHにとってはももクロファンやラウドロックファンに向けて認知を広げ支持層を拡大する好機であり、自分も含め多くの人は期待を持ってステージに向かったであろう。

 

BiSHのステージは過激な歌詞が印象的な「NON TiE-UP」からスタート。年々レベルが上がっているステージパフォーマンスでオーディエンスを魅了する。徐々に会場のボルテージも上がりサークルモッシュがあちこちで起こっている。その過激な盛り上がり方はももクロには見られないもので、BiSHのファンである”清掃員”を中心に暴れまわるオーディエンスだけ見れば、笑顔でコールを上げるももクロよりも数段盛り上がっているように感じる。

BiSHのパフォーマンスに感じたオーディエンスとの断絶感

BiSHをディスる前にあらかじめ伝えておくが、自分自身の趣味で言えばBiSHの楽曲の方が好みである。「どんなアイドル好きですか?」と聞かれればPassCodeの次にBiSHの名前を挙げるだろう。自分は”モノノフ”でも”清掃員”でもないが、ももクロとBiSHを比べればどちらかと言えばBiSHファンである。

そういう私的嗜好を踏まえた上で俯瞰で両グループの公演を見た結果、BiSHはももクロに完敗していた。キャリアの差やステージ構成の違いを鑑みても「ここまで露骨に差が出るものなのか?!」とある種ショックを受けたのが正直な感想だ。

BiSHのステージは最大のヒット曲「オーケストラ」を含まないまでも「GiANT KiLLERS」や「星が瞬く夜に」「MONSTERS」など、ファンに人気の高いナンバーを織り込み、メンバーのパフォーマンスも決して手抜きやモチベーションの低さを感じさせるものではなかった。しかし、バックバンドも何もないステージ上の6人はその広いステージを持て余し、1列に並んで決められたフリで踊るBiSHのステージは、ももクロを含めたバンドサウンドとの一体感を十分に味わっているJAPAN JAMのオーディエンスにとってはまるで「お遊戯会を見ている様」に感じるほどにステージ上とオーディエンスが断絶してしまっていた。

好機を逃したBiSHのポテンシャル

これが自分だけの”勘違い”であれば良いのだが、自分の感じたものを裏付ける様にBiSHの公演半ばでステージに背を向けるオーディエンスが目立った。つまりBiSHはラウドロックファンを取り込み支持層を拡げる好機を逃したのだ。BiSHの楽曲が好きな自分としても、とても残念な思いがする。

終演後のTwitterやライブレポートを見ても差は歴然で、ももクロについては、かつてサマソニやオズフェスに出演した時と同様に、多くの”非ももクロファン”がそのステージに感嘆の声を上げているが、ももクロのすぐ後に公演したBiSHについては余りそういった声は聞こえてこない。

 

この日フェスに集まっていたオーディエンスは客層で言えば、明らかに”ももクロ”より”BiSH”寄りだっただろう。BiSHの公演中に見られたサークルモッシュはトリの10-FEETをはじめこの日出演した各アーティストの会場で起こっていた。BiSHのファンと親和性のある”暴れたい”オーディエンスが多く集まっている中で、BiSHはそのパフォーマンスで、その手のオーディエンスを魅了することができなかった。セトリが悪かった?いや、「オーケストラ」や「プロミスザスター」を演ったとしても結果は同じだっただろう。

これからのアイドルムーブメントにももクロとBiSHが示すもの

2020年に向けて、現在”アイドル”として括られているガールズグループの様相は大きく変わっていくだろう。
秋元康が作り上げた歪んだ「商業アイドルシステム」は瓦解しはじめている。キャリアや支持率に関わらずファンを魅了できないアイドルは淘汰され、あるアイドルはコンセプト性を強めニッチなマーケットで支持を集め、あるアイドルは海外へとその活動圏を拡げている。

ももクロは、オルタナティブ・アイドルの扉を開いた先駆者でありながら、今なおデビュー以来変わらない「ももクロイズム」を示し、そのポテンシャルを保ち続けている。

BiSHは「ポストももクロ」として商業アイドルに傾倒しない新しいアイドルファンの多くを惹きつけたが、そのステージではさらなる展開を期待させるパフォーマンスを見ることができなかった。

とは言え「非AKG」の他のアイドルグループと比べれば、両グループともいまだに多くの支持を集めているのは確かだ。

今後も引き続き、ももクロとBiSHの活躍を期待している。

(ちょろっと@遊び人)

 

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